「可愛すぎだ、馬鹿」


鮫島のおでこをベシッと軽く叩く。


「あいた!ちょっと理不尽すぎます、今のは!」
「うっせえ、ちょっと黙ってろ」
「…はぁい」


ベシベシと叩き続ける。


「未遂なのはわかりました。いいです、大丈夫です」
「本当ですかっ?」
「うん。鮫島を信じる」
「あっあっ、ありがとうございます…」


だからさあ…、


「鮫島、キスしよ」
「え?」


聞き返した鮫島の口を軽く塞ぐ。
重なるだけの静かなキス。
ちゅっと小さな音は、遠くで打ち上げられた花火に掻き消された。