「…俺のことも、覚えてないのか?」 「……」 「じゃあ、俺と付き合ってたことは?」 ―――――え、 あたしたちって… 「付き合ってたの?」 「うん。」 「そうなんだ…」 あたし、彼氏のことも覚えてないの…? だとしたらすごく申し訳ない。 たとえ付き合っていたとしても、今のあたしには記憶が、ない。 恋愛感情も思い出も、全部消えてしまってる。 「…あのさ、」 そう慎が言い掛けたとき。 ガラッ