優しい愛


気を取り直せ、俺。


「あんさ、まだ時間ある?」



ありますように
連れて行きたいところがあるんだ。


願う。




あるという返事にほっとし

山本の右手に



俺の左手を伸ばす。

いきなりすぎたかな。
初めて二人で出掛けるのに。

こんなデートみたいな
恋人みたいになっちまうな。


目を丸くして俺を見ている山本に
さっきより強く握りしめて

いいか?と訊ねると



うん、と返ってくるから
またほっとする。




「そこの公園、丘の上から
きれいに見えるものがある。」