優しい愛


デザートを食べ終えて満足そうな山本が、可愛くて仕方なかった。


会計で、割り勘と言い張る山本に、俺が全部払うと押しきり、店を出た。



映画代も払ってもらってるのに、という山本を、良い子だなと思った。


店を出たあとに

手をつなぐ口実が見つからないから
そのまま並んで歩いた。



「映画、楽しみだねっ。」



「おー。テレビでやってるCM、
すっげぇ面白そうだもんな!
評判もいいし、何より俺この映画に出てる俳優がめっちゃ好きでさ…っと…」



やばい
一気に話しすぎた。

山本が、ぽかんとした顔で俺を見てる。


「あれ?話やめちゃうの?」




呆れてたわけじゃなかったみたいだ。

良かった。



話してて良かったのに、と言う
山本に苦笑いをしながら

映画館についた。