優しい愛




席に着くときに離れてしまった手は
山本の温もりを忘れようとしなくて

心惜しかった。



注文した料理が運ばれてきて

見た目をたっぷり堪能した山本は

一口目を食べると
そのあとは美味しそうに

笑顔で食べ続けた。



そんな山本を

ずっと見ていたかった。




「滝くん…」


俺が食べ終わった頃に

山本は遠慮がちに俺に訊ねてきた。




「あの


デザートも、食べていい…?」