俺、っていう表面上の存在じゃなくて `たき とうま`っていう存在を 見てくれたんだ、山本は。 俺自身を。 「さんきゅうな。」 それしか言えなかった。 山本は一瞬俺を見て また本に視線を戻した。 ああ、分かった。 俺はもう、とっくに惹かれていたんだ。 山本に。 放課後の終わりを知らせるチャイムがなり 山本が席を立つと同時に俺も席を立つ。 ドアを開けて 山本に、さっき本を借りるときに書いた メモを一枚、渡した。