優しい愛





ねぇ、滝くん。
滝くんはほんとは、優しくて
自分より人の気持ちを考える人だよね。


あの日、私に話しかけてくれた滝くんは、
滝くん本来の姿だったように思うんだ。



クラスで、一匹狼で、いつも一人で。
周りにクール、なんて言われてるけど

ほんとは孤高なんかじゃなくて
孤独なんじゃないかな?





やっぱり、聞きたい。



「たっ…滝、くん!」


いきなり声を上げて名前を呼んだから
閑静な図書館に声が響いてしまった。


「…っくりした。何?」


「あ、ごめん…」


「いや。


どうした?」




「あのね。」



ふう、と一息ついて、私は聞いた。




「滝くんは、寂しくないの?」




滝くんは、一瞬目を泳がせたけれど
また真っ直ぐ前を見て答えた。



「なんで。」




ああ、怒らせてしまったかな。
だけどここまで来たら、戻れないから。




「あの日私に寂しくないのって、
声を掛けてくれたのは
自分も同じように寂しくて
私に気づいてくれたんじゃないかなあ


って思うから




自意識、過剰だね、ごめんね。」