優しい愛



びっくりした。
私の名前を、知ってるとは思わなかった。



「名前。」


「だってクラス一緒だろ」


言われてみれば確かにそうだ。





「山本、最近笑うようになった。」





笑うように、なったって。
見てるのかな?私のこと。
まさか、そんなわけ、ないか。

自意識過剰だなあ、私。




「そうかなあ?

でも、滝くんが話を聞いてくれたから
少し楽になれたかも。


あっ…初めて話したのに
泣いたりしちゃって…ごめんね。」



「気にすんなって。別に迷惑とか

全然そんなのねぇから。」




「そかっ!ありがとう。」



ん、と言って
滝くんは、また黙ってしまった。






だけど私には、聞きたいことが
たくさんあった。

この沈黙を、私から破って良いのだろうか。