「ねぇりっちゃん。」
「んー?」
「聞いてなかったでしょ。説教。」
「あら、分かった?」
あはは、と笑って返す。
なんでも純和が言うには、
私が考え事をしているときは親指を
いじるくせがあるんだそうだ。
説教中もきっといじってたんだろうな。
「でもまあ、私も半分聞いてなかった。」
いや、そりゃそうでしょ。というか…
「説教まともに聞けたらすごいよー。」
ふふっと純和が笑う。
そうして十字路についた。
私はこの道を右に、純和は真っ直ぐ歩くと
家があるから、ここでいつも別れる。
「あ、じゃあここで…」
「うん、また…」
明日、は言わない。
どうせまた、後で会うしね。