マラソンだから、走れない純和は
木陰で座ってこっちを見ている。
私が手を振ると、振り返してくれた。
一緒に走れたら、いいのになぁ…。
走ることに精一杯で
その間に、純和の心に変化を与える
出来事があったことに気付かなかった。
6週目が終わって休憩したときに
ふと純和の方を見たときだった。
純和が、肩を大きく上下させて
泣いていた。
久しぶりに、純和が泣いている姿を
見た気がした。
「…す…みか…」
隣にいるのは、誰?
「…滝?…純和に何したの…」
違う。分かってる。滝のせいじゃない。
純和の中で、何かあったんだ。