途中で帰ってきた中1の妹は
驚きの余り手に持っていた通学カバンを
落としていたけれど


私が簡単に事情を説明したら

「梨衣姉ちゃんと一緒に住める!」


と喜んで荷造りを手伝い始めた。





そうして空っぽになった部屋を見たら
まるで最初からなかったような

今までが嘘だったような感覚に襲われた。



だけどいつだって現実は正直で
両親はもう、いない。


だけど私、気づいたことがある。



人は二度死ぬんだ。

体が無くなってしまったときと
思い出から消えたとき。



だから、もう大丈夫。


パパもママも


私の中で、生き続けているから。




「…ばいばい。ありがとう。」


もう、パパとママがいた場所に
留まらない。



前に、進むよ。