その日自宅に帰ったら
いつの間にりっちゃんが連絡したのか
りっちゃんママが家の前にいた。
「聞いたよ、すー。」
「りいママ…。」
「妹さんは?」
「あと10分くらいで帰ってくる。」
うん、と首を縦に振ったりいママは
そばにあった大きな袋を手にとった。
「りいママ、それ何?」
「ん?段ボール。
ほら!早く鍵開けて。荷造りよ~。」
「まさかほんとに…?!」
呆然としながら部屋の鍵を開け
りいママが遠慮もなしにずかずか
部屋に入って荷造りを始めた。
両親はあまり
物を持たない人たちだったから
遺品も少なく、段ボールにつめて
部屋のはじっこに置いておいたし
私と妹だけで暮らしていたから
部屋にあるものは生活に必要な
最低限の物しか置いていなかった。
そんな部屋が主婦の手にかかれば
荷造りなんて一時間足らずで
終わってしまった。
