「ねえ。」


思わず声をかけてしまった。


「…えっ?」



…それだけか?
聞こえなかったことにしたのか?



「ねえ。聞こえる?」


もう一度、声をかけてみる。
さっきより少し大きな声で。


「…聞こえるっていうかなんていうか

木ってしゃべるんですか?!」


おい

なんで木が話す設定になってるんだ。


「俺一応人間だけど。」



「あ、ですよね。
いや、じゃなくて、誰ですか??」

さっきより落ち着いた
優しそうな声が聞こえてくる。



「滝。


滝翔聖」