それ以上特に話を膨らませることなく、隣の部屋に続くふすまを美津子は開けた。


美津子の部屋は6畳ほどの畳の部屋。

亡くなった祖母が使っていた部屋だ。



実はもう少し広いフローリングの自分の部屋が、奥にある。

けれど畳みが好きで、無理やりここの部屋を使わせてもらっていた。


「変わった子ね」


母に呆れられながら言われるセリフが、美津子は嫌いじゃなかった。


わざと左右違う靴下を履いたり、真夏にあっついお茶ばかり飲んだり。

母の奇妙なものを見る眼が好きだった。

外では目立たないことに徹しているというのに。