雷に打たれた男の姿はすでに見当たらない。 気を失った蒼は、糸の切れた風船のように宛もなく空に浮かんでいた。 「蒼……」 空に漂う蒼を胸に優しく抱えて、フレンは静かに地上に降りた。 「う…ううん」 胸の中のぬくもりで目を覚ました蒼は、ゆっくりフレンを見上げた。 太陽の陽が反射して、フレンの顔が光り輝いていた。 「本物の……天使………」 まだ朦朧とする意識の中で、蒼は呟いた。