「幸せ~~」 嫌なことはすぐに忘れる正確が功を奏した。 何となく家の方角に向かっていただけなのに、もう既に我が家の赤い屋根が足元に見えた。 「あ、私んち!」 少し加速して前に進もうとしたその瞬間――… 目の前を一瞬黒い影が横切った。 「え」 そんなはずない。 ここは、空の上、なのだ。