俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

頭を掻きながら、フレンはすくっと立ち上がった。

美しい背筋が、蒼の目の前にずらっと立ちはだかる。

夏の暑さでにじんだ汗が光っていて、それがまた何とも艶かしい。



ごくんと、蒼が唾を飲み込むと、それ見たかとフレンが鼻で笑う。


「まあ、いずれか…心も身体も俺に従うようになるさ」


髪をかきあげると、そばに脱ぎ捨てた衣装をするりと身にまとい、風のように空へと消えていった。


蒼はまだ腰が抜けて、床から起き上がれない。


「あ、朝から刺激が強いって…」


開け放しの窓からの風が、カレンダーをさわさわと揺らした。