俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

しかし、すぐに脳内回路がショートして頭から煙がのぼる。


「ダメだ…頭冷やそ」


くるりと一回転してから、蒼は風のふくままに空を飛んだ。



見知らぬ街の夜景の光点が足元いっぱいに広がる。

まるで、道しるべのように。


「こんな景色があったんだ……」


うっとりと、ただ見とれるしかない。




(私にはまだまだ知らない世界がある…)



この力だって

知らなかったってだけで

非現実なんて案外すぐそばにあるものなのかもしれない。




いつも見ている現実なんて

非現実のごく一部なのかもしれない。