「だ、大丈夫。でも今日は…部活はやめとくわ。あはは」

グラウンド中の視線を集めながら、蒼は逃げるように部室に駆け込んだ。


いつもの汚れにも程遠いユニホームを、捨てるように脱いでロッカーに押し込んだ。

胸元のリボンもせずに部室を飛び出すと、他の部活の生徒が一斉に蒼を見つめた。


まだ昼にも程遠い時間で、他の部活もまだ練習途中だったのだ。


「あれってソフト部の峰崎さんじゃ?」

「いつも一番遅いのにね。めっずらしい」


すっかり見世物のパンダ状態で、蒼はただ視線をふわふわと泳がせた。