「え、わ、わわわわわわわわ」 あるはずの重力を全く感じないままに、ふわふわと浮き上がる。 もっともっと、と腕を振り上げると、面白いほどに空へと吸い込まれていく。 「わ、ちょっと、うそうそうそうそ!」 先程まで自分がいた土手の川原が足元で水溜りのように小さい。 レンガのように隙間なく並ぶ屋根たちが、色とりどりに敷き詰められている。 隣駅の大きなデパートの屋上の剥き出しのコンクリートさえも、すぐそばのように確認できた。