「当たり前だろ? こんなに心地よい風が吹いてる」 当然のように答える青年に、蒼は返す言葉がない。 「お前だって飛べるだろ?」 「???」 「聞こえねえのか?」 「…あ、はい、あの、聞こえてはいるんですけど」 「じゃあ俺様の声に少しは反応したらどうだ??」 青年は少しイラっとして蒼のすぐ近くに降り立った。 女子の中では背の高い蒼より、はるかに大きい彼。 蒼は観察するようにゆっくり視線を上げた。