アレオンの景色は一瞬にして黒い雨に塗りつぶされた。

雨は衰えるどころか強くなり、大粒の黒い弾丸が体を打ちつけた。


「痛い! 下の階に降りましょう!」

慌てて皆が扉のほうへ駆け寄り、アレオン王は王女を抱きかかえて少し遅れて階段を降りた。



黒インクをぶちまけたような暗い闇は、乾いた砂漠さえも徐々に飲み込み始めた。



天が、散々アレオン王がやってきた行為に、悲痛な涙を流しているのか。


ただ悲しむだけではない。


怒りに満ちた黒い雨は、砂漠の水たまりを泉に変え、川に変え、いつの間にか、黒い海に変えていた。


「このままではアレオン国が沈んでしまう」