派手に着飾った女が、艶かしくフレンに声をかけた。


「王女……」


「あら。お母様と呼んでいただいても構わないのに」

「お前など…母と呼べるか」

その言葉に、王女は少し頬を強ばらせた。

「またお戯れを…それにしてもその格好…アレオン国の王子ともあろうお方が」

侵入するために薄汚れた黒いマントを、フレンは被ったままだった。


王女はまるで汚いものを見るような冷たい視線を浴びせた。


「王族というものは格好だけのものではない。心の強さや気高きプライドを持つもののことを言うんだぜ?」

フレンも同じような視線で、王女を睨みつけた。