「私にゃんてっ! 学校の授業は全部真面目になんて受けてにゃいからっ!」 とうとう愛用のミュールを脱ぎ捨てて裸足で歩く千鶴。 「こっちの世界に来てたくましくなったよね…ちづ」 後ろの二人のやり取りを、蒼は微笑ましく眺めた。 「お前は大丈夫か?」 「あれ? フレンが私を気遣ってくれるなんて」 蒼のすぐ前をのぼっていたフレンが優しい眼差しを見せて振り返った。 「フレンの香り…お母さんの大事なお花の香りだったんだね…」 その眼差しに答えるように蒼も微笑む。