「ちょっとお話が聞こえちゃったんだけど…お姉ちゃんたちお城に行くの?」

「まあね、ちょっと用事があってにゃ」

「わ、私たちみたいな民衆がお城になんて入れないよ!」


アンはとんでもないと首を何度も左右に振った。


「民衆は一人もお城に入ったことないの?」


アンに美津子が尋ねると、アンはふと何かを思い出したように両手をパンと叩いた。


「あ……いないことはないか」


その言葉に美津子とフレンが身を乗り出した。

「王様の服の仕立て屋さんとか、肖像画を描く画家先生とか――」

「それだ!」

四人は口を揃えて叫んだ。