「なんて歌?」 扉の隙間からアンが顔を出して千鶴に話しかけた。 「起こしちゃった…かにゃ?」 「ううん。それより素敵な歌。名前はあるの?」 「今なんとなく作ったからないのにゃ」 千鶴がアンに手で招いて、すぐ横に座らせた。 アンは千鶴にもたれかかると甘えて腕を絡めた。 千鶴はアンの頭を優しく撫でながら、もう一度、同じメロディーを奏でた。 「……ママもよくアンに歌ってくれたの……懐かしいな」