「眠れないにゃ……」


一番初めに眠気が襲ったはずの千鶴が、すっかり目が冴えてテーブルにうなだれていた。

蒼はアンの横で気持ちよさそうに眠っていて、美津子はソファに腰掛けたまま寝ていた。

千鶴は外に誰もいないことを確認してから、そっと扉を開けて外に出た。


「不気味な雲…」


隙間なく埋められた雲は地上と同じように荒れていた。


今、地球とは全く別のところで、こうやって空を見上げている。

こんな知らない土地で、これからどうなってせいまうのか、この先のことは頭上の雲よありもどんやおりと暗くて見えない。


千鶴は家の壁にもたれかかってしゃがみこんだ。


軽く深呼吸したあと、口からメロディーがこぼれ始めた。