俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

「どうやって時間が分かるの? 外はずっと真っ暗だし」

「アンはもう食べたら寝ることにしているの。空腹でいると寝られないから。時間は…もう必要ないもの」


いっときして、小さな寝息が布団から聞こえた。


「きっと淋しいだろうにね」


寝顔はまだあどけなさが残る少女だ。


蒼も千鶴も美津子も、アンの将来を考えると自然と涙が溢れた。

こんな小さな子がこのまま一人で生きていくことはどれだけ大変なことだろうか。


「……ママ……」


アンの寝言が、ぽつりと聞こえた。


その声に耐えられないフレンが、顔を伏せたまま外へと飛び出した。