俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

お腹は四人とも減っていた。

しかしどう考えても貧しい生活なのに食料を奪うことも出来ない。


蒼が困ってすぐそばにある椅子に腰かけたとき、パンツのポケットが妙に膨らんで違和感があった。


「あっ!」


ポケットに手を入れた瞬間、蒼は思わず声をあげた。


「何よ。人の声も空っぽの胃に響くにゃ」

「これ見てよ! チョコ! けーくんのチョコ持ってきてた!」


怪しげな外国の包装のチョコを、蒼は高々と両手で掲げた。


「にゃにゃにゃー! チョコチョコチョーコ☆」

「さっそくみんなで分けましょ。アンちゃんも食べようよ!」