俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

耳鳴りのように耳から離れないセミの声。

道路工事、あとはそれに伴う渋滞、苛立ちのクラクション。


暑い、うるさい、埃臭いの、最悪な帰り道――


「ねねね、駅前のクレープ? あ、それともファミレスで涼しくランチも捨てがたい!」

暑さで溶けそうになりながら、ふらふらと歩く美津子と千鶴。

「あーっ、でも、夏ならやっぱりかき氷? いちごに練乳トッピング!」

部活で暑さに慣れっこの蒼は、騒音に紛れながら一人でしゃべりまくる。



「あつい……」

千鶴がぼそっと呟いた。