「う、うそ……」 蒼は慌ててベッドから起きて、もう一度置時計を掴んだ。 「11時10分…………」 震える手でみた文字盤でも、確かにそう確認できた。 「寝坊するなよ」 もう夕暮れの柔らかい日に照らされた啓太の笑顔。 蒼は足に力が入らなくなって床にペタンと座り込んだ。 声ともない嗚咽を漏らして、真っ青な頬から、冷たい涙が止めどなく流れた。 (啓太くんの大事な試合…行けなかった!!!!)