「うわ、風が」

風に乗り草が散ったので、啓太が目を伏せた。

その瞬間、指きりはあっさりと解かれてしまった。


名残惜しく残る蒼の小指が、指輪の印と一緒に並んでいた。


「じゃ、そろそろ帰る。言いたいことは伝えたし」

「あ…うん」

平気を装って、蒼は軽く返事をした。


「あと……」


もう背中を向けている啓太が、呟いた。