あまりに突然な出来事に、蒼はまるで絵を眺めているような。

「雨の日に川沿いに来るなんて無謀だったかな?」

啓太がおどけて笑うと、蒼も釣られて笑顔を浮かべる。



雨のおかげで、時折赤らめる顔を傘で隠すことができるのに。



「立ち話でもいっか。たまには」

「そだね」


ちょうど指輪を拾った辺りに立った二人は、暫く川の様子を見ていた。


「この前はごめん…」

蒼が行った「この前」とは、学校で啓太が話しかけたのに振り向かなかったあの日のことだった。