俺様天使とのキスまであと指輪一個分。

蒼は空高く浮かぶ十字架へと視線を動かした。

フレンは気を失ったのか、ぐったりとしたまま動かない。


(フレンを助けなきゃ!)

意を決した蒼は、先ほど男が槍を作り出したように、右手に力を集中させた。

右手から黒煙がたちのぼり、煙の中から、鋭い剣の姿をした火柱が生まれた。


「でやあぁぁぁぁぁっ!!!」


炎の剣を両手に持ち替えて、蒼は男の一人に襲いかかった。


「……無駄なことを」

男が呟くと、蒼のちょうど足元からバリバリという地響きが起こった。