「ちっ」 フレンが金色の髪を翻して、ドアの前の男たちの隙間を縫って外へ飛び出した。 「グレイス様、お待ち下さい!」 「なぜ、このようなところに!?」 男たちは振り返りフレンのあとを追う。 ぽつんと取り残された蒼。 「な…なに?」 玄関中の風が一気に、彼らとともに外へと流れ込んでいった。 何事もなかったかのような静けさだけが、蒼の周りを取り囲んでいた。