「キス魔あお! 誰でもチューしちゃうんだから」

「だっ、誰でもじゃないよぉ。私は………ゴニョゴニョ」

「もう! …まあ、でも安心した」

「……え?」

小休憩が終わりを告げる監督の怒鳴り声がグラウンドに響く。

法子は靴紐を結び直しながら、小声でこぼした。


「いつもの蒼らしくなかったから心配だったんだ…」

法子は、蒼の顔を見ずに監督のもとに走っていった。


(のりちゃん……)


色んなことが有りすぎて…

でもそれに振り回されて、大事な人たちを不安にさせてしまったことに蒼は気がついた。