「どこ行くんだろ」

学校とは反対方向だ。

しかもまだ学校なんて開いていない時間。

「……よし!」

窓淵を蹴って、蒼は空へと飛び上がった。


まだ温められていない出来立ての空の風が、蒼を優しく撫でた。



(けーくん!)




啓太はすでに歩道を外れて、大きな川の土手を草を掻き分けながらズカズカ進んでいた。

橋の下にまで入ったのを確認して、上空からは確認できなくなった。


仕方なくすぐ近くに降りた蒼は、草むらに身を潜めて啓太の様子を伺うことにした。