どこか記憶のある香り。

思い出そうとしたが、その影がとうとう蒼の寝ているすぐ側まで近づいた。

そして、胸元からキラリと光るものを静かに取り出した。


(ナイフっ!!)


蒼が慌てて飛び起きると、その影はすぐにベッドから離れ、窓の外に飛び出した。

「待て!!!」

蒼もすぐに窓から身を乗り出したが、影はすぐに真夜中の暗闇に溶けて消えていた。


(どうして……私を襲うの?)


壁時計はすでに深夜3時を過ぎていた。