中1の2学期…

金木犀の、いい香りが漂う頃のこと。


あの日のことは、今でもはっきり覚えている





「光梨、お願いがあるんだけど、いい?」
明梨はいつも、私に頼み事なんかしないから
ちょっとうれしかった。




「うん!! いいよ。どうしたの?」
この時までは笑顔だった。


明梨から頼まれる「お願い」を聞くまでは…





「翠くんに、渡してほしいの」
「な、に、それ…」



もしかして…
その「もしかして」は正解だった。