「お嬢様、朝ですよ。」


「…うぅ…あとごふん…」


まだ眠くて自分のかぶっている毛布をまた深くかぶった。


「…そんな事言ってないで、早く起きて下さい。」


久我山は私のかぶっている毛布をとった。


朝だから少し寒くて目が覚める。


「…起きるわよ…。……フワァ…」


あくびをしながら伸びをする。


「お嬢様とは思えない様な大きいあくびですね…」


私を見ながらクスクス笑う。


「べ、別にいいじゃない!」

「はいはい。そうですね。」


……執事に軽くあしらわれた。


久我山ぁぁぁ!!


私を馬鹿にしているのか…!


「こんの―…」


少し久我山を睨んでみた。


「…睨んでも仕方がないですよ。お嬢様。」



はぁ、とため息をする久我山。


またバカにした!!



この、意地悪執事ッ!


「…そんな事はどうでもよくて、早くしないと遅刻しますよ…?」


しまった!久我山のせいで学校の事、忘れてた…


「久我山っ!早く着替えるから朝ごはん!」


私は急いで制服に着替え、朝ごはんを食べる。


「お嬢様、髪は…?」


「え?…あぁ!忘れてた!」


アホか!私はッ!!


髪が寝癖ですごい事になっていた。


時計を見ると、8時30分。

いつも25分に家を出ているから間に合わないかも!!


「…本当に学校、遅刻しちゃうよ…」



「大丈夫ですよ、車で行けば間に合います。」


私はいつも、学校は歩いて通っている。



「ん…でも、歩いて行く!」

「かしこまりました。…何故お嬢様は車ではなく歩きで…?」


久我山は不思議そうな顔で見てくる。



「……瞬と約束があるから…」



「…瞬?」



そう、海藤 瞬(カイドウ シュン)。



アイツとは幼馴染みで、海藤グループの跡取り息子。


昔はよく一緒に遊んでたっけな…。



「そう、瞬と途中から一緒に学校行くってゆう約束!」