「……そうですか?」
また更に近づいてくる。
…顔近すぎるよぉ…
…あ…久我山って結構カッコイイ…
漆黒の黒髪、綺麗な切れ長の目。薄くて形の整っている唇…。
思わず見とれてしまう…。
「…お嬢様、どうかなさいました?」
久我山の言葉で我にかえる。
「べ、別にどうもしてないわよ…」
私はパッと久我山から目を逸らした。
「お嬢様、お顔が真っ赤ですよ…」
久我山は私の耳元で囁く。
一気に顔がボッと赤くなるのが自分でも分かる。
「クスッ…分かりやすいですね。お嬢様は…。」
久我山は私を見て少し笑う。
「う…うるさい!私から離れて!!」
自分の顔を片方の手で隠しながら久我山をどける。
「わかりました。」
まだ笑いながら私から離れる。
……何なの!?アイツは!?私をからかって!
しかも、アイツがここに来て1日もたってないのに!
……カッコイイと思ってしまい、見とれてしまった私がバカだった…。
パタパタと手で顔をあおぎながらふぅ、とため息を出した。
「…田中、帰って来ないかな…」
思わず、ポソッと本音を言ってしまった。
「…今、「田中、帰って来ないかな…」と言いましたね?」
「…へ…?」
あ…!言っちゃった!つい本音を…
「い、いやぁ、さっきのは本音ではなくて…」
「本音じゃないなら?」
どうしよう…久我山の顔がニコッと笑っているように見えるのに、何かオーラが怖い…!
思わず、顔がひきつってしまう。

