まだ1時間目も始まっていないけれど、わたしと拓郎はすでにパンを食べていた。


担任であろう教師が教室に入ってくるのが見える。


「あ、これウマー!さゆり食べる?」


食べかけていた焼きそばパンをわたしに差し出す拓郎。


わたしはとりあえずくれると言われたものは食べるのが礼儀だと思っているから遠慮なくかぶりつく。


「あ、ほんとね。これ食べる?」


わたしがクリームパンを差し出すと拓郎は返事をせずに一口持っていった。


担任であろう教師がホームルームを始めると叫んでいるけれど、わたしと拓郎は食べるのをやめない。


いきなりやめて次食べれなかったらどうするのよ。


という拓郎との口論でわたしが勝ったため、拓郎も納得してこの状況になっている。


わたしと拓郎は隣になるたびこういうことを繰り返しているからすぐに席を離される。