無視すんなよー、と口を尖らせる拓郎にももう慣れた。


新学期早々、窓際の一番後ろの席を獲得できたわたしは、小首を傾げるように頬杖をつく。


拓郎にはなんの気遣いもなく接することができるから、わたしはすぐさま拓郎に購買でクリームパンを買ってくるように言い付けた。


勿論拓郎の分もなにか買っていいと財布ごと渡す。


「行く行く!さゆりサンキュー!」


ほんと元気だけが取り柄の拓郎。


廊下を駆けて行く音が聞こえるのを確認して、ざわつく教室を見渡した。