「…失礼します」




私は金光さんに背を向けた。

すると、



「皇様に」

「…え」

「皇様に、会わせて差し上げましょうか?」




金光さんは私の欲しかった言葉を言ってくれた。




「…皇に…?」




会える。
会えるかもしれない。

こんな感情が私の中で芽生えていた。




「皇様は、貴女に会おうと必死で山ほどある何カ月先までの仕事を睡眠を削ってまで毎日こなしています」

「…っ」




私は、本当に馬鹿だね。

皇のそんな努力も知らずに。
あんなこと、よく言えたもんだね。


私はこの苛立ちを自分で自分にぶつけるしか、
―――罵【ののし】るしかできなかった。