「…本当に、どうしたんだ?樹里」



そんな優しい声を、私に掛けないで。

あなたにそんな優しい声を掛けてもらえるほどの、人間じゃないから。
勿体ないよ、皇。



「そうかなぁ…」



ヤバい。
涙声になってた。



「…っ、樹里?!泣いてるのか?」



突然の涙声に、焦っている皇。


皇。
皇。

私の人生の中での最愛の人。



「泣いてなんて、無いよ…っ」

「嘘だろう、もう、嘘つくなよ…」



皇が辛そうな声を出す。

そんな声を聞いて、さらに苦しくなる。
皇に、
嘘をつかなきゃいけないと言う、事実。

心が、痛い。



「本当だよ」



あなたは何でも気づいてしまうんだから。
私の些細な変化も。


それが時に嬉しくて、
時に、残酷だと言うことを、

―――あなたは気付いているだろうか。