『…皇もきっと気づいていましたよ。
…世界の高柳財閥グループ総帥が、普通に考えても知らない訳が無いじゃないですか』



私は一度たりとも匡仙様から目を離さなかった。
目を離してしまったら、負けなような気がして。

私のせめてもの、“布告”だったのかもしれない。



『…これは驚いた。この私と目を見て話すなど』

『…』

『…奴の、皇の執着する理由が分かる』

『…』

『君には感謝している』

『…え?』

『皇はまるで心の無い人形みたいだったが、あのパーティー以来、皇は180度変わったように、自分の意思を尊重するようになった』

『…』

『そこに関しては礼を言う。ありがとう』