「樹里?」
「あ、ごめんなさい」
「どうかしたか?」
「ううん。何も」
そんな私の元に戻ってきて、腰に手を回す皇。
エスコートしてくれるようだ。
気づかないでほしい。
この、私のいやらしい思いには。
…皇に嫌われたくないから。
こんなことで、また『さよなら』したくないから。
私が彼に似合う彼女にならないとだめなのよ。
ブティックの中に入ると、そこはやっぱり未知の世界で。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。高柳様」
「彼女に」
「承っておりますドレスでお間違いありませんよね?」
「はい」
「はい、畏まりました。
そちらの椅子に掛けてお待ちくださいませ」


