なんでも用意周到な彼に頭が下がる。


私はこんなに幸せでもいいのだろうかと偶に思う。

皇とまた付き合い始めて…匡仙さんに認められて付き合ってるっていうことだけで、なぜかすごく楽だった。


勿論、皇と一緒に居ることは楽しい。

なにも気にしなくていいから楽だし、同じような職業柄、わからないことは聞いたらちゃんとした答えが帰ってくるし。


だから、もう、私はなにも言うことはない。

だけど。
唯一、まだ言えてない人がいる。


―――両親だ。

なぜか、言えてなかった。




「樹里」

「うん?」

「着いたぞ」




目の前には、高級ブティック。

いや、もう。
ここまでしてくれなくていいのに。

フェラーリを店の前でウインカーを付けて止め、私は降りる。
降りて立ち止まる、そんな私を置いて、スタスタと入る皇。

ああ、そうか。
彼はこういう世界の人だった。


こういうとき、私と彼がいくら想い合っていようが、好みも一緒だと言っても、モノの価値観が違うんだと、ひしひしと感じさせられる。