にこにこして、本当に愛想がいい琴平さんに少しお辞儀をして、皇の愛車である赤いフェラーリの前に行く。
このフェラーリは皇曰く、匡仙さんに入社祝いに買っていただいたものらしく。
家が一軒、二軒なんてザラに買えるらしい。
さらに言えばプレミアモノなんだとか。
助手席のドアを皇が開けてくれ、私は乗り込む。
「本当ごめんね、皇。
クリスマスなのに仕事が残ってて…」
「気にするな、仕事だったんだから仕方ねぇだろ」
「うん…」
そうとは言ってくれているけれども、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
折角の、忙しい皇が休みのクリスマスなのに。
私は一つ溜め息を吐く。
「気にしすぎなんだよ。
俺は、食事なんかは二の次で、樹里に会えるだけでいいんだから」
「…っ、もう!」
「はは、じゃあ動くぞ」
そう言って動き出すフェラーリ。
すごい乗り心地がいい。
さすが高級車。
私はひそかにそう思い、資料を見る。
ああ、もう。
こんな面倒くさい仕事を残した何時間か前の自分を殴ってやりたい。


