「…はい」 理解しているつもりだ。 誰よりも、何よりも。 だから私は離れたのだから。 「ましてや、皇は長男だ。 誰がどうなろうとも、いずれはこの高柳財閥を担うのは皇。 だから、私はあの時樹里さんを試した。 …どれくらいの気持ちがあるのか。 家族を捨ててまで、皇と一緒に共にする未来を望むのか」 私は試したのだ、と匡仙さんは言う。 「…じゃあ、つまり…」 私は試された、ということ。 「君は、『家族』を選んだ」 それで、私は誤った答えの方へ行った。 そういうことだ。